亡くなった親の借金を調べる方法
「亡くなった親の借金がどれくらいあるかわからないから、相続するか放棄しようか迷っている」
という相談は多いです。それに加えて、
「誰に相談すれば良いのかな?税理士?弁護士?」
とのご質問もよく頂きます。後者の応えは簡単。
「ファイナンシャルプランナーの私にご相談下さい!(笑)」
ということですが、私に聞かずとも親の借金を調べる方法はあります。
今回はそんなお話です。
用意するモノ
まず、親の借金を調べる上で、必要な書類があります。
それは、
戸籍謄本
です。
よく聞くようで、あまり使うことが無く、一体何の書類だか謎が多いと思いますが、
こちらは、亡くなった方と自分との関係性を証明するモノです。
一般的に相続は、遺書等が無い場合、親族に振り分けられます(法定相続)。
その時に、自分が亡くなった方と親子であるとか、兄弟であるということを証明する書類が『戸籍謄本』なのです。
そして自身の戸籍謄本の他に、死亡したことを証明する書類が必要です。
死亡を証明する書類としては、
@医師による死亡診断書⇒A現住所の市役所の住民票の除票⇒B本籍地の除籍謄本
の順で作成され、Bの除籍謄本に行きつくまで役所の仕事が遅いと1ヶ月以上かかることもあります。
相続するか放棄するかの判断が、死亡を知った時から3ヶ月以内が基本ですので、
死亡を証明する書類は、@の死亡診断書が一番早く手に入り、早めの調査ができます。
補足ですが、2017年5月29日より、法務省の『法定相続情報証明制度』が発足しており、
こちらの証明書を作成しておけば、相続不動産の登記手続き等がスムーズになりますので、とりあえず親の借金の調査は急ぎで死亡診断書を証明書類として使い、
その後、こちらの制度を利用する、というのがお薦めです。
詳細はコチラ⇒【法務省HP:http://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00284.html】
どこで手に入るか
では、戸籍謄本をとりに行きましょう、となった場合どこに申請するか?
こちらは、本籍地の役所です。
住民票のある、すなわち自分が住んでいる街の役所とは限らないのが注意するところです。
基本的には自身の出生地であることが多いのですが、転籍届を過去に出している場合はこの限りではありません。
調べる方法としては、住民票を市役所で出す際に本籍地記載で請求したり、警察署に行って運転免許証から本籍地を調べることもできます。
特にご結婚されて、夫の方に入籍を済ましているという奥さんは、本籍地は奥さんの生まれ故郷等ではなく、夫の本籍地が奥さんの本籍地となります。
なお、亡くなった方の戸籍謄本は、除籍謄本として作成されます。こちらの入手先は亡くなった方の本籍地となります。
信用情報3つの機関
さて、ここからが本題の借金を調べる方法です。
個人の信用情報は以下の3機関から問い合わせることができます。
@ CIC(Credit Information Center)信用情報センター
【https://www.cic.co.jp/index.html】
A 全国銀行協会
【https://www.zenginkyo.or.jp/】
B JICC(株式会社信用情報機構)
【https://www.jicc.co.jp/index.html】
3つの違いは、主な内容の違いはなく、加盟している金融機関の違いになります。
Aの全国銀行協会などは、名前のとおり沢山の銀行が加盟している機関ですが、
CICなどは、銀行の加盟は少なく、クレジット会社や携帯会社などの加盟が多くなっております。
これらの機関は、自分自身の信用情報であればインターネット・スマートフォンアプリにて簡単に開示できたり、郵送請求できたりします。
CICなんかは、数分の作業で自分の信用情報がPDFでダウンロードできます。
亡くなった親の信用情報で有れば、1用意するモノ で説明した書類等を添えて郵送でのみ開示可能です。
信用情報機関で調べられないこと
以上は、基本的な親の借金の調べ方ですが、それでも調べられないものがあります。
その主たるものが。。。
保証人契約
です。
よくドラマとかで、親が亡くなった後、半年くらい経って借金取りがやってくる話ありませんか?
こんなセリフで。。。
娘「お父さんは、まじめ一徹で借金なんかしたことはありません」
借金取り「お父さんは確かに借金してないんだけどねぇ。友人の連帯保証人になっているんですよ。」
と。
死亡後直ぐに来ないのは、相続を知った日から3ヶ月以内の相続放棄が認められるからであり、相続を放棄すれば保証契約も破棄したことになります。
相続放棄せず家庭裁判所に何も申し立てをしない場合は、3ヶ月後単純承認といって、財産も負債も相続したことになります。
保証債務の場合は、法定相続人が均等に負うことになっております。
そしてこの保証債務というのは、信用機関には載りません。
なぜなら、信用機関は直接お金を貸した方の支払い状況の情報を持っているだけで、保証人の情報までは載せないからです。
また、当然ながら個人間の借り貸しも載りません。
あくまで信用機関に登録されている業者からしか情報は得られないのです。
これらの情報は、もう生前に親に聞いておくしかないのです。
誰に相談するべきか
相続が発生した時に、誰に相談するべきかということですが、
相続と言うのが、親の借金を調べるのみならず、相続不動産の登記や、相続税の計算、生命保険の請求、遺族年金などの諸手続きなど、かなり広範囲の分野で業務が発生します。
ということで、ある特定の分野での専門家が必要なのではなく、各諸手続きで専門家が変わってくるのというのが、相続の現状です。
相続税の計算などは税理士の専売特許となっております。有資格者ではないと相談を承れません。
また不動産登記においても、他の方に委任する場合は、司法書士の有資格者でないといけません。
だからと言って、業務ごとに相談する方を変えるのは大変だと思います。
ファイナンシャルプランナーであれば、個別の相続税計算やお客様に変わっての不動産登記はできませんが、幅広い知識で相続に係る相談を包括的に承ることが可能です。
それに加え、税理士や司法書士など幅広い提携先をもっていれば、ワンストップで相続の手続きもスムーズに行えます。
そして税理士・司法書士にも沢山の専門分野があります。
法人の経理に強い税理士もいらっしゃれば、相続専門でされている方もいます。
当然、相続専門でされている方のほうが、相続時に相談する相手としては適切です。
最近ではファイナンシャルプランナーの資格を持った税理士さんも増えております。
もし相続が発生しましたら、相談する相手として、
・ファイナンシャルプランナーの資格はあるか?
・相続関係の資格を持っているか?
・主に専門としている分野は何か?
など検索する基準になると思います。
閲覧ありがとうございました。